佐賀大学 自然科学域 理工学系 情報部門 准教授 掛下 哲郎
生成AIの活用を前提としたプログラミング教育とソフトウェア工学教育のパラダイム転換
生成AIの急速な普及は,ソフトウェア開発の多くの側面に革新をもたらしている.従来の開発手法では,設計から実装,テストまで多くの工程が人手に依存していたが,現在はChatGPTやGitHub
Copilotなどの生成AIを活用することで,さまざまな工程が自動化されつつある.たとえば,要件定義においては,自然言語でのやり取りを通じて仕様を生成AIが整理し,設計工程では,基本設計やアーキテクチャ選定における提案を自動生成する.また,実装時には,生成AIが高度なコード補完を提供し,単純なコーディングタスクを自動化する.さらに,ユニットテストや統合テストの自動生成により,開発者の作業負担が軽減されると同時に,ソフトウェア品質の向上が図られている.
このような技術的進展は,プログラミング教育やソフトウェア工学教育にも大きな影響を与えている.我々の研究チームでは従来の人手による教育から脱却し,生成AIを活用した対話型の学習環境の導入を目指している.これにより学生はより短期間で,かつ実践的にシステム開発の流れを体験できるようになっている.生成AIが自動的に生成するフィードバックや補完機能を活用することで,学生は複雑なプロジェクトでも効率的に学ぶことが可能となり,教育の質が向上することが期待される.
1984年九州大学工学部情報工学科卒業.1989年九州大学工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了.工学博士.1989年佐賀大学理工学部情報科学科講師.1991年同大学助教授.1996年〜1999年熊本県立大学講師を兼務.1999年佐賀大学理工学部知能情報システム学科助教授.2007年同大学准教授を経て2010年より佐賀大学大学院工学系研究科知能情報システム学講座准教授.ソフトウェア工学および情報システムの研究教育に従事.
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